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2008年08月31日 『秋の便り』

またまた更新がなかなかできなくて、読んでくださっているみなさま本当にごめんなさい・・・
8月も今日で終わりという日になってすべりこみ更新とは・・・(泣)

いつも言い訳するのが心苦しいですが、8月は3回も和歌山と鎌倉・東京を往復したので、文章を書く余裕がありませんでした。

まずは、リサイタルのご報告をお約束していました・・
もう2ヶ月も前のことを今さら・・・ですが、今さらだからできるご報告リポートをお届けしますね。

6月のリサイタルは、私が「face」というコンサートシリーズに続いて立ち上げた「LETTER」というシリーズの中のひとつのコンサートでした。
昨年度は、四季折々に街のお花屋さんでちいさなコンサートを開いてきました。苦手なお話も交えつつ、古典の編曲から即興演奏、宮城道雄・沢井忠夫作品、現代曲などを演奏し、気楽に筝のいろんな面を近くで体験していただこうというものでした。
楽屋もなく、リハーサルもできなくて、外の雑音は聞こえるし、コンサートとしては全く条件の整わない環境で開きました。

「face」のシリーズは、筝の楽器としてのあらゆる「顔」を、そして、演奏家としての自分のあらゆる「顔」を取り出して、その中からまた新たに何かを発見し、生み出していこうというコンセプト。

その後、2年ほどのブランクがあって、「LETTER」というシリーズを立ち上げました。
音楽や自分がどうやって社会と関わっていくものなのかということを考えるようになったからです。
音楽は、「届けるもの」なのではないだろうか・・・ということから「LETTER」というタイトルのシリーズにしました。

その宛先は、聴いてくださる聴衆のみなさまであり、愛するひとであり、自分自身であり、そして「祈り」ということを思えばそれはかみさまであるし、自然の中の大いなる何かでもあります。

お花屋さんで開いたわけは、まずコンサート会場から飛び出たかったということ。
もっと日常に、もっと身近に、音楽があってほしいと私自身が思いました。もちろん、電車に乗ればヘッドフォンやイヤフォンで音楽を聴く人はたくさんいるし、そうやって音楽を聴くことを否定する気はありません。
だけど、生の音を近くで聴いてほしいと思いました。
演奏会は、演奏家ひとりで作れるものではありません。まず、環境があり、制作スタッフがいて、聴いてくださるお客様がいて、さらに、それぞれが相互に関わりあってできるものです。
「雰囲気」ということばがありますけれど、それはまるでいくつかの絵の具を混ぜ合わせてあるひとつの色を作るようにできていくものだと思います。

お花屋さんというコンサートを開くには整わない環境の中で、演奏家としてどうやって音楽を届けていくかということは思ったより大変でした。
自分の考え方や感覚さえまるごと変えなければならないような状態でしたから・・・
でも、その経験が大きく私を変えてくれました。
どんなところでも音楽を届けることができるというひとつの発見です。

4回にわたったこのお花屋さんでのコンサートは、あたたかいお客さまの応援がありました。
私が感じたとまどいを共有し、考え、発見し、おつきあいくださったことに感謝の気持ちでいっぱいで、そしてまたその力があったからこそ私自身も大きく変わることができたのだと思います。

6月はそのリサイタルの経験を踏まえ、映像とのコラボレーションという新しい試みをしました。
終演後、賛否両論たくさんのご意見やご感想をいただきました。
同じものを見て聴いてこんなに相反する感じ方や考え方があることは、企画した段階でなんとなく予想はしていたけれど、それ以上のものでした。

もちろん、ご批判もあるだろうと思いましたけれど、それでも私は新しいことに向かいたかった。

今回のリサイタルは、スタッフもたくさんいて、さらに映像とはほとんど打合せなしの即興的なものでした。そのどれもが私にとっては初めてのことでした。

音楽や演奏のスタイルは変わらないけれど、パッケージが変わるとどうなるのだろう?
たくさんの人が私の音楽にどうやって関わって、それはどんな風に開かれていくのだろう?
それを受け取るお客様は?

もちろん音楽が開いていく必要があるのか。とか、それが開いていくということなのか。ということにはたくさんの考えがあるでしょう。
だけど、今の私はどんな人にも開いた音楽(音楽の種類ではなく、演奏として)を自分から発信したかったのです。
そのきっかけを作りたかったのです。

8月に入って、私の教室の生徒さんたちのおさらい会があり、さらに高校生たちのコンクールがありました。
そのひとつひとつの演奏に詰まったそれぞれの人の思いをたくさんたくさん感じながら、音楽のすばらしさをあらためて感じ、感謝し、音楽家として生きていられる幸せを心から感じていました。

3年前に、沖縄をひとりで旅行したときに、タクシーの運転手さんが私に言ってくれたこと。
「音楽が好きな人も得意な人もたくさんいるけれど、それで生活できる人はやっぱり特別でしょう。誰にでもできることじゃない。だから自分のためだけに歌ったり、弾いたりしているんじゃなくて、いろんな人のためにやらなくちゃならないことがあるんじゃないかと私は思うよ。」
涙が止まりませんでした・・・・

それがどんなことなのか、どうすればいいのか・・・私にはまだはっきりとはわかりません。

パッケージがどう変わっても、届けるタイミングがどう変わっても、手紙の中身の中身はずっといつも同じ。
そして、まっすぐ届けたいという気持ちも。

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