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2008年07月27日 『シリキレトンボタダイマ・・・そして、「演奏家」について』

ロンドンのご報告が途中のまま、シリキレトンボはレッスンと演奏のために和歌山から海外に出かけており、つい数日前に帰国いたしました!

・・・というわけで、ずっと更新できなくて・・・
いつも応援して読んでくださっているみなさま。ごめんなさい!
リサイタルのご報告にもまだ至っていないのですよね。(>_<)

さて、猛暑が続きますね。
どこへ行っても、どんな移動でもすぐに眠れる特技を持つ私は時差ボケがほとんどないのですが、気がつくと食生活が乱れ、運動不足だったりして、からだがなんとなくぷよぷよとなまっていることに気づきます。
で、ここ数日前からからだづくりと称してストレッチを念入りにしてみたり、生活パターンを少し変えてみたりしています。
スタミナ不足はもちろんよくないけれど、無駄なものがつきすぎると感覚も鈍くなって、伝達能力が落ちるような気がします。だから、少しからだを引き締めるための努力をします。

演奏家はある意味スポーツ選手やダンサーと同じではないかしら。
もちろん練習が大切ですけれど、実はからだ全体のしなやかさや重心の確かさ、感覚にすばやく反応できる瞬発力など自由な表現のためには指先だけでなく全身の身体能力が必要なのですよね。

そして、それは身体に限らず心も。かな?
やわらかで透明な心、アンテナは錆びつかないようにいつも磨いていなくちゃいけないでしょう?

演奏だけするならそういう本能的な感覚だけを磨けば十分なのかもしれないけれど、演奏家が職業になったとき、それが人々や社会と関わっていくために「考え」なくてはならなくなるのかもしれませんね。

・・・・と、そんなことを考えつつ、ロンドンのご報告は最終回。

コンサートの会場は古い教会。
お昼前からリハーサル開始。ソロの曲をひととおり弾き終えて筝カルテットの曲に。
初めて会ってから3回目のリハーサル。
時々は冗談も飛び交うようになったし、なにより音楽で遊べるようになってきたのが嬉しい!
ジプシーの曲などは自由度が高いから、みんなだんだんいろんな手を駆使して「どうだい?ついてこれるかい?」「それはやりすぎでしょ(笑)」「見よ!コントラバスの底力!」「あらあら、お筝はいつも優雅でたおやかで、だけどちょっと意地悪だったりするのよー。」「みんな勝手なことばかり!やってられない・・・(と、いじけるピアノ)」「あくまで主役は僕(と、マイペースなヴァイオリン)」という風に演奏者も楽器も会話を始めます。
さあ!いい調子!本番よろしくね。とみんなで握手!(きっとうまくいく!!!)

本番は、200名ほどのお客様で満席。
前半はソロのみ。筝の音は心地よく教会の隅々に行渡り、高い天井から降ってきて、空間を満たしていきます。音楽を楽しみ、味わおうとしている人たちの心はスポンジみたいにやさしくやわらかく私の一音一音を吸収し、溶けていくようでした。私は、「うれしい」というよりは、「ありがとう」という感謝の思いに包まれていました。

後半はいよいよ筝カルテットによる演奏。
前半の全身白のドレスからピンクの華やかなフレアのワンピースに着替えて、思いきり自由に派手に楽しみました!もちろんメンバー全員はじけました!
お客様もリズムにのってからだが動いていました!
リハーサルでは微妙に合わなかった超絶技巧のフレーズも見事にフリーパス!(やったね!ってウインクしたくなる気分でメンバーと目を合わせてニッコリ!)
からだでリズムを取って、みんなの目を見て、ほとんどダンスしているみたいに弾いていました。

最後の曲を弾き終えたら、たくさんの拍手!拍手!拍手!
カーテンコールがあって、アンコール。

盛り上がりました!よかった!ウレシイ!!

その後、ワインをいただきながらレセプション。
私に英会話を教えてくれていたロンドン大学の先生も教え子を連れてきてくださっていました。バタバタで連絡もできなかったのに・・・最高によかったよ!とハグしてくれました。
作曲家の友人もかけつけてくれました。
そしてそして、お筝を見たこともない、聴いたこともない人たちがたくさん!
お筝ってすごいんですね!あなたの手は一体どうなっているの?握手してください!そんなことばに囲まれてほんとに幸せでした。
みんなが言ってくれたことばで多かったのは、「エレガント&パワフル!」

ロンドンご報告は、ハッピーエンド(^_^)

「エレガント&パワフル」に生きていきたい!
そんなことを思いつつ、さて、いよいよ東京・神楽坂のリサイタルへと話は続きます!

2008年07月08日 『ロンドン・チェルシーフェスティバル』

七夕も終わりました。
みなさんはどんな願い事をされましたか?

七夕の前日の夜、ちょうど日記を書き終えて真夜中にベランダに出てみたら、霧が深くて、いつもははっきり見える山々も白いけむりの中に隠れてしまっていました。
霧の夜。
視界がどんどん狭くなり、すっぽり白いベールに包まれてこのままどこかへ連れていかれるのではないかしらと思うほどでした。
しばらくベランダの手すりに頬杖をついて、山や川や道を眺めていました。
白い霧の中から見え隠れするかすかな木々の気配、緑の葉のささやき、どこからか聞こえる人の声、物音、せせらぎ、虫の騒ぎ・・・
時折、川面をなでるように、すべるように、霧の裾が通り過ぎていきます。
まるで、生き物みたいに霧は動きます。
ひとしきり視界を遮り、やがてどこかに吸い込まれるように薄くなって、正体を失い、どこかにあっけなく去っていきます。
夢のように・・

さて、つづきのお話。
ロンドンでのプログラムは、前半は筝のソロのみ。筝のために書かれた古典から現代までの作品。筝の伝統の系譜を辿ってもらえたらと思いました。
後半は、ラヴェル・シューマン・モーツァルトの美しい作品とクレズマー(ユダヤの民族音楽)やジプシーのにぎやかでノリのいいちょっとハチャメチャな要素もありのプログラム。
衣裳も、前半は白の全身を覆ったシンプルなドレス。後半はピンクで裾に白や緑や水色のフリルのついた華やかなワンピース。

そうそう、その後、演奏はどうなったか心配ですよね?(笑)

楽譜に関する行き違いがあったことは大問題で・・・
でも、なんと!みなさん夜なべをして(夜なべって英語あるのかしら?)CDから音をとって楽譜をおこしてくださったのです!!!(涙)
ようやく最後までとりあえずは通せるようになりました。

さて、それが前日。
明日は、もう本番。

仲良くなったでしょ?通せたでしょ?
それだけで音楽がいいわけないですよねー。

まずは音程の問題。
クラシックの曲は、やっぱりみんなで揃わないと、特にラヴェルなんかは4人で弾く場合きちんと合っていないと和音の美しさが出ないから、合わない音を拾って、みんなで音出し確認。ピアノが入るからピアノにともかく合わせましょう!と打合せ。
ジプシーやクレズマーはちょっと壊れていた方がいいから、はずしてもいいよ。わざとはずす必要はないけど、はずれてもお構いなし!

そして、ノリの問題。
筝でクラシックやジプシーの曲を演奏をすること自体が邪道(笑)。
だったら、オリジナルを気にしたってしょうがないし(所詮オリジナルにはなれっこないのですから)、筝の、生粋の日本人のノリで、私のノリで行かなくちゃ!
ラヴェルの曲は、少し東洋の音楽の影響を受けているから、逆にそこで遊んじゃって、筝独特の音を入れたり、全体の速さも筝の音にあわせて本来の速さとは随分違ったを思います。あっさり進んだり、少し揺れたり、長い時間をかけてのっていったり・・・曲を素材にしてしまって、だけど作曲者が大事にしている核の部分はもちろんしっかり受け止めたつもりです。
ジプシーやクレズマは、もう遊んで遊んで、本番には何があるかわからない、フェイントあり、突っ走ることもあり、ドジってもみんなで笑おうね!そんな感じです。それでみんなで音楽にしていくには、みんなが仲良く、思いやりをもちながらいたずらっぽくキュートでなければね!

作曲家の伝えたいことは、細かいテンポや正確な技術や音程、リズムではなく、それを超えた向こう側にあるかたちにならないもの。

筝でどうしていろんなことをするの?
クラシックや民族音楽のアレンジをやって一体なんの意味があるの?

そういうことをよく聞かれたし、自問自答もくりかえしてきました。
好きな音楽を自分の楽器で弾いてみるとどうなるだろう?そんな好奇心から始まって、やってみたら、こんなことも取り入れるとおもしろいかも!ここはこうしたらきっとステキ!そんな風に工夫が始まって、できあがったら、すっかりお筝にしかできないものになっていた!
意味はないかもしれません。
遊びに意味なんかないでしょう?

そうやって無邪気に遊ぶときもあれば、筝の響きにじっと深く聴き入りながら次の音を紡いで、その空間を染めていく、そういうとても静かな音楽のときもあります。

ひとつの顔じゃなくちゃいけませんか?

やりたいことを素直にやって、その瞬間瞬間がかけがえのないもので、自分のすべてがそこにあるなら、きっとその音楽が伝わっていくものではないのかな・・

いろんな顔があっていいでしょ?
それが全部私自身なら・・・

白い霧は、瞬間の舞台を作りあとかたも残さず消えてしまう。
それは少し演奏家の存在に似ているのかもしれませんね。

さて、ロンドンでの本番。
そのご報告は次回に。(でも、ここまでのご報告の方がたぶんおもしろいかも・・・笑)

2008年07月06日 『ご無沙汰してしまいました・・・・』

更新したいと思いながら、ずっとできずにいて、今夜ようやくできると思って日記を見てみたら、最後に更新したのは5月でした!
ビックリ!!!

結局6月は全く更新しなかったことを知って、ショック!(涙)水無月はいずこへ~?
いつも読んでいてくれるみなさま、ほんとうに失礼いたしました。

6月は今まで生きてきた中で一番多忙で、スケジュールは綱渡り的なものでした。
どこからご報告すればいいかな・・・

6月はじめに海外に行って、森の会の演奏会の前日帰国、翌日森の会本番。それから、和歌山に帰り、ロンドンでリサイタル、東京でのリサイタル前日帰国、翌日リサイタル昼夜2公演本番。
いろんな方々のご協力と支えがあって、どれも無事に乗り切ることができました。
お世話になったみなさま本当にありがとうございました。

体力と集中力・・・・・これがどこまで持つかなあと思いましたが、生来の「なんとかなる」という楽天的で脳天気な性格と、どこでもいつでも眠れるという無神経さが幸いしました。

ロンドンでは、現地のミュージシャンとの共演でしたし、楽譜も整っていない状態で、ピアノ・コントラバス・バイオリン・箏のアンサンブル。曲がわかっているのは私だけ。
最初のリハーサルは、悲惨・・・どの曲も最後まで通らず、おまけに勘違いで楽譜がちがっていたり、届いていなかったり、練習にほとんどならず・・・・リハーサルはあと明日と本番直前の2回だけ。ああ、一体どうなるのー?

ソロの曲は当然練習するひまなし(泣)

もう絶望的な気分には一応なっているものの、どこかで「なんとかなるでしょ。」とささやくちいさな天使?の声が聞こえます。

できることはなんだろう?

思いついたことは、音楽的なことではありませんでした。
ともかく、「仲良くなろう!」ということ。
英語はほとんどできないし、どうやって?

まずは、元気に挨拶をして、ありがとう。と、どうか一緒に楽しくやってね!というお願い。
練習して、こうしてほしいと思うことは率直に遠慮なく言って、よくなったら大きな声で「OK!GOOD!」と態度をはっきりわかりやすく伝えること。そして、明るくなるような雰囲気作り。

テンポはこうしてね。ここは私に合わせてね。ここは私が合図するからね。もっとハチャメチャに自由に壊れたみたいに弾いてみて。。。。。
判断と決断をすばやく、わかりやすく伝えること、それに対する反応も同様に。そうすることで徐々にコミュニケーションが取れてきて、音楽もまとまって楽しくなってきます。

日本では、「察する」ことが大切で、そうすると相手の気持ちを読みすぎたりして、どんどん内側に籠ってパワーがなくなってしまうことがあります。その点、外国だとことばがわからないことが幸いしているのか、言語そのものがそうなのか、そういう遠慮や憶測の必要がなく、逆にそうしていると何も始まらないし、気が楽なように思います。
こんなことを言ったら言い過ぎかな・・・とか、今の言い回しは相手を傷つけてしまったかな・・・とか、私の英語ではそんなことを考える余裕もないし(笑)、そんなことは気にせずともかく伝えることが大事ですから。

さあ、そんなわけで、モトキさん(ピアノ)、マイケル(バイオリン)、アラン(コントラバス)と私の4人のジプシーもどきのあやしいにわかバンドが結成されたわけです。

このつづきは次回に。
まずは、ご無沙汰してしまったことのお詫びのご挨拶かたがたの本日の日記でした(深謝)


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