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2008年05月31日 『私のアルバム』

日々の予定に追われ、気がついたら、もう今日で5月が終わってしまうのですね!(汗)
すべりこみで更新・・・なんだか最近このパターンだなあ(うっ。。)

我が家のかわいいツバメくんたちも晴れた日には、すごいスピードで道路の上をシューッシューッと飛び回っていますが、雨の日はおとなしくしています。
裏の川は緑がこんもり。今年は鳥の鳴き声が夜中でもしていて、カルガモや白鷺?ウグイス、ツバメ・・・ともかく鳥たちがいっぱいいます。

日常のできごとといえば、熊野で出会った方々からお写真を送っていただいたり、電車で年配の女性に席を譲ることが多くてそのお礼にとキャラメルやガムをいただいて洋服を誉めてもらったり、見ず知らずの人との交流がたくさんありました。
移動が多かったからですね。

そして、芸大の生田流箏曲の同窓会組織である森の会のリハーサルでは、久々に先輩や同級生、後輩と会って、どの学年がどうだったという話に花が咲きました。

私の暗黒の芸大時代(笑)の記憶が甦りました。

芸大の中のことはなんにもわからずに運よく入学してしまったので、課題に出される曲はほとんど見たことも聴いたこともない曲で、しかも最低でも10分くらいはある古典が中心。
そして、なんと!それを1週間で暗譜しなくちゃならないような過酷なレッスン。

お筝の楽譜は漢数字で書かれているのですが、それが四六時中頭の中をぐるぐるまわっていて、汗も涙もすべて漢数字のようで、息をしても口から憶えたばかりの楽譜の数字が漏れて出ていきそうでした(笑)
眠っていても夢の中でお筝を弾いていて、途中でわからなくなって、飛び起きて電気をつけて楽譜を確認したりして・・・。

朝は早く行って、大学の食堂で朝食のパンを買い、練習室にこもって練習。
地味な(笑)蒸しパンとサンドイッチと甘いカフェオレが定番でした。
上野公園を歩くと、レッスンが憂鬱で下を向いて歩いていた白い早朝を思い出します。

帰り道、たまに友達とあんみつ屋さんに行くことくらいが楽しみで、いつもさっさとうちに帰っていたので、ほとんど遊びに行った記憶がありません。
華やかな大学生活とはほど遠い地味な毎日でした。

そんな手探りの状態で学んでいった4年間。
何かをつかむまではすごく時間がかかったけれど、その分濃くて充実した4年間でもありました。
卒業時に思いがけず、御前演奏に選んでいただいたのはうれしかったなあ。。。

小学校から大学まで友達と遊んだ記憶はほとんど無くて、流行には極めて疎かったです(笑)。
思い出を辿ると、小学校の頃ひとりで寄り道をして眺めていた景色や遊んだれんげ畑、高校時代通学路を自転車でかけぬけた時の風の感触とか、大学時代練習室から見えた夕陽や富士山、そんなことばかり。

でも、そこに重なるのは「想い」。

高校時代、自転車で風に吹かれながらきっと将来の夢を想っていました。希望に満ちてあの坂道を毎日上っていました。
大学時代、真っ赤に染まった夕焼けの空を見ながら、こんなことに負けないでがんばらなくちゃ!と自分を勇気づけていました。
中学時代、思春期に読んだ本の中に出てくる恋愛にほのかな憧れをもって、きっと空を眺めていました。
小学校の頃は、やっぱりおかあさんに草花を届けたいと思ったのだろうと思います。

今も変わらない。。。
私の記憶はいつだって想いと風景が重なって、よりあざやかに、より深く、刻まれていきます。

明日から6月。水無月ですね。

2008年05月06日 『夏のきざし』

今日は連休の最終日。とてもいいお天気でした。

5月になりましたね。皐月(さつき)という呼び方が一番なじみ深いですけれど、菖蒲月(あやめづき)とか早苗月(さなへづき)という呼び方もあるようで、聞いただけで目の前に風景が広がります。
自分でつけるとしたらどういう呼び方が5月にはピッタリかしら?と考えてみたり・・・

「きみどりづき(黄緑月)」とか「かぜさやぐつき(風さやぐ月)」とかかな・・・

あんまりお天気がよかったので朝からベランダにお布団を干して青空をしばし眺めていると、カエルの声や川の水の音、風で木々の葉が揺れる音、ただいま修行中のウグイスの鳴き声が聞こえてきます。

そういえば、今年もまたツバメが我が家のベランダに帰ってきて、せっせと巣を作っています。パソコンを打つ横で、藁をくわえて忙しそうに行ったり来たりしている様子がちらちら見えるんです。
たまに、ベランダの手すりを横歩きしているツバメくんを鳴きまねしてからかってみると、わらをくわえたままキョトンとこっちを見ています。

今日は鎌倉駅まで散歩に出かけました。
私が通る道はあまり人通りのない静かな切通しと言われる小道。春に通ったときのことを思い出しながら、風のにおいはもう夏に変わっていることに気づきます。若葉が伸びて、春には明るかった道が葉っぱで影になってお昼なのに少し暗くてひんやりします。
風が吹くと、ばさばさと木が揺れて、葉っぱのこすれる音でいっぱいになって、小さな山の谷間の小道はタイムスリップしそうです。
重なる葉のすきまに抜けるように青い空が見えて、光がさしこんで、葉の重なりの濃淡が影絵のようでした。

自分の息の音が風にまぎれて、ちいさな渦ができます。
こうしていると、自分がここに存在していることが不思議になります。

生きていることは幻想なのかもしれない・・・

先日大阪大学でお話と演奏をしました。法学部の学生さんが半分くらいで普段はほとんど接点のない方々との交流はとても興味深く、有意義で、楽しいものでした。
学んでいるそれぞれの知識や技術はちがっても、もしかしたら、それらはすべて人間としての生き方や幸福につながっていくものなのかもしれませんね。

もうすぐまた次の万葉集の勉強会がやってきます。今回は私も発表しなくてはなりません。
ちょうど和歌山で有間皇子が歌った挽歌が私の担当。

磐白(いはしろ)の濱松が枝を引き結び まさきくあらばまたかへり見む
家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を 草まくら 旅にしあれば椎の葉に盛る

有間皇子はこのあと藤白峠で悲劇の死を遂げます。
藤白のあたりは私の家からもそう遠くなく、藤白神社は何度も行ったことがありますし、教室のおさらい会の下合わせで場所をお借りしたこともあります。
今は高速道路の脇の道を入ったところにありますけれど、ひなびた趣で静けさに満ちた大きな神社です。

万葉集は私の家のごく間近で詠まれている歌も多く、今は当然その頃とはまるで違った環境ですけれど、ここから見る空や月、そして風は変わりなく、土や石にそのかすかな記憶が残っているかもしれないなどと思ってしまいます。
そんな環境の中で生まれて育った自分の中にも何かが残っているのかもしれないなどと少し期待したりして・・・(笑)

芥川龍之介の全集を買ったことも思い出し、今日は引っ張り出してきて、読み始めました。

風景や物に沁みた記憶。
それらが時折とてもやさしい風になって私の中を吹き抜けていきます。

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