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2007年10月30日 『晩秋の一夜』

和歌山はもうすぐ11月だというのに汗ばむくらいのあたたかさ。
レッスン・整体・両親との外食・祖父母のお墓参りというのが最近の和歌山での生活の定番。
これに図書館通いや甥姪との遊びの時間がたまに加わります。
今回は、演奏会本番もありました。

西浜音楽祭は西浜中学校(私の出身中学校)の卒業生の集まりである「浜友会」が主催するおまつりの中のひとつのイベントでした。
こんなに音楽関係者がいるんだ!とまずびっくり。そういえば、近所に作曲家の方やピアニストもいるし、近所を散歩すると尺八や長唄三味線、詩吟の音も聞こえてきます。この日演奏したひとたちも、後の打上げで話してみたら、みんなご近所で、「そうそう、あのケーキ屋さんの隣の隣」とか「あのお医者さんの隣」とか、超ローカルでした(笑)。

演奏会は1000人収容の大ホールで行われ、当日は7割くらいのお客様でした。
ショパンのピアノ曲にはさまれた私の筝の演奏。
以前ならすでにこの段階で、みじめな気持ちになっていたかもしれないし、逆にがむしゃらにがんばっちゃったかもしれません(笑)
ホールは、音響がいいとはいえないけれど、よくないというわけでもありません。

リハーサル。
広い舞台にのったお筝はちいさいけれど、楽器が放つ強さと美しさが私には神々しく見えました。
だから、だいじょうぶ!
一音一音を誰もいない広いホールに染みわたるように手から放っていきます。ゆっくりと、大切に。
よし!PAは無し!生音でいきましょ!

本番。
前半は在校生の吹奏楽部による演奏。客席で聴きました。
みんなすごく楽しそう!そうよね~!音楽はこうでなくっちゃ(^_^)

さて、自分の出番。
最近、本番前に楽屋に持ち込むものは、大量のミネラルウォーター(スーパーモデル並みに消費します(*^_^*))とアーモンドチョコレート。以前はバナナとドリンク剤でしたが、今はこれ↑
そして、脱力のためにからだをゆらゆら動かして、、、、舞台へ。

やはり、お客さんに音を吸収されたせいかリハーサルの時よりさらに余韻は短いけれど、丁寧にひとつひとつの音がすべてのひとに届くように弾いていきます。
会場は、水を打ったような静けさになって物音ひとつしません。
まるでブラックホールみたいになった空間に、放たれた音は吸い込まれていきます。
かそけき音であればあるほど、すべての人の意識がこちらに近づいてきて、舞台と客席の距離感は縮まっていきます。
やっぱりここは異次元かもしれないと思いながら。。。

両親と、きれいな月をゆきすぎる雲をぼんやり眺めたり、いただいたバラの花のかおりを楽しんだり、植えたばかりのハーブのちっちゃな芽がみるみるうちにいっぱい出てくるのを見てさわいだり、レッスンが詰まっていても和歌山ではそんなのんびりした時間が流れます。
新横浜駅の雑踏の中で突然ぶつかられて、そのまま走り去って行った人がいて、はっと目が覚めました。
そうね。ここではぼんやりしていると事故に遭っちゃうこともあるんだから!
で、鎌倉に着いたらここはのんびり。やっぱりほっとしました(笑)

緊張感がどこか「疑い」につながっていくのはさみしいな。。。

さて、11月は京都、12月は福岡へ行く予定もあります。移動大好きな私!

いろんなものに出会って、いろんなことを感じて心の中がきっとまたいっぱいになります。
ちょっとしたことに涙がこぼれそうになるのは、秋だから?感傷的になってる?それとも年のせい?(苦笑)


2007年10月22日 『LETTER~autumn~終了』

10月20日(土)「LETTER」秋のコンサートを無事終了いたしました。
ご来場してくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。
そして、松井茂さん、また、協力してくださった方々やスタッフにも心から感謝申し上げます。

急速に閉ざされた冬に向かう直前の燃えるような秋の激しさや去りゆくものへの思いと祈り。
意識的に選曲したわけではないけれど、結果的に自然に気分が今回の演奏曲目を決定させました。

そろそろ鎌倉も紅葉のきざしが見え始め、きっと北海道や東北ではもう冬の足音すら聞こえているかもしれませんね。

枯れて散っていく前に木々はどうしてあんなに赤や黄金色になるのかしら?
科学的な説明はあるに決まっているのだけれど、私には朽ち果てる前の最期の叫びに聞こえます。
その炎のような激しさ。
太陽が沈んでいくときの夕焼けの激しさにもどこか似ていて。。。
まるで秘めていたものが一気に抑えようもなく現れてしまったかのように思えます。

生命が誕生して花々が咲き乱れる春は、浮き足立って、そわそわと落ち着かず、どこかへ飛んでいって駆けめぐりたいような衝動にかられるけれど、秋は普段は気づかない「自分」があふれてくるようで、静かな、だけど怖いくらい激しい感情に私自身とまどうことがあります。

紫色の秋桜の前で、身体の動きに任せた即興の試みから始まり、追善曲「残月」を編曲した作品、「手事」「楽」、そして、最後に松井さんとの共同作品・京極為兼の名号歌を歌いました。。。なので、歌の最後、つまり今回のコンサートの最後は「あ・み・だ・ぶ・つ」で終わりました。
計画してこうなったわけではないのに、コンサートが終わる頃に静かに祈るような気持ちになっていたことは確かです。
何かを祈ったわけではなく、ただ静かに祈っていた。。それだけ。

かなしく、いとおしく、くるおしく、、、、そんな秋はあっという間にきっと過ぎて、あわただしく冬の準備に追われていくのでしょう。

演奏のご報告にはなりませんでした。。

あざやかに染まって散り落ちた葉っぱを手にとってみると、たまらなくいとおしく思えて、その美しさを讃え、目を閉じて祈りたくなるのはきっと私だけではないと思います。

2007年10月19日 『明日は』

昨日は、モノフォニーコンソートの演奏会がありました。
会場は、自由学園明日館というライトが設計した建造物。池袋の雑踏を抜けた住宅街に静かな時間が流れています。外観はもちろん、窓や灯りのひとつひとつにも、この建物に入るひとへの愛情や思いやりが感じられて安心感に包まれます。窓のデザインもすてきで、昼と夜でまた全然ちがった感じがします。その窓からは、葉っぱが風にゆらゆら揺れている様子が見えます。

木造建築物なので、音も自然であたたかみがあって、藤枝さんの作品にはぴったりの場所だったと思います。筝の曲は、全部初演で、笙とのトリオやバイオリンと笙とのカルテット、筝のみのデュオなどいろんな組み合わせがあって、楽しかったです。

モノフォニーコンソートというグループも結成して知らない間に10年経っていたらしく、今回は10周年と聞いてびっくり!終演後は、メンバーの石川高さんや丸田美紀さんとも思い出話(といっても笑い話)に花が咲きました。最初は手探りでしたから、調弦にもものすごく時間がかかったし、みんなピリピリしていましたけれど、今は、耳も鍛えられたし、藤枝さんも筝や笙のこともすごくよく理解してくれるようになったし、お互いがどんどん変わって、いろんなものをそぎ落としたり、あるいは磨いたりして、シンプルなかたちでゆったりと楽になってきたことがなによりよかったと思いました。

さて、明日は「LETTER」のコンサートです。
こちらは、まだまだ新たなことを「実験」している段階というところかもしれません。
伝統と私なりに関わっていくこと、ことばや声との関わり、そして、今回は1曲目に、「身体からあらわれる音」ということをテーマに即興演奏します。

最近ダンスの方との共演もあったり、自分自身の身体の感覚についてあれこれ考えたり、感じたりすることが多くて、「演奏」は「手」だけで行われているものではなく、全身の機能や感覚を開いて動かしていくものだということを強く実感するようになりました。そんなことは当然なのですけれど、意識することによって、楽器の一部になっている自分の身体や感覚の不思議さがとてもおもしろくて、そこにはまた逆に「演奏」することを続けてきたことで、知らない間に、あるシステムのようなものができあがっていて、筝の演奏家には筝の演奏家の「動き」の道筋がついているようにも感じられるのです。

今回は、通常の演奏とは逆に、身体の声を音にしてみようという試みです。
演奏家は、作曲された曲を実際の音にし、その都度違った環境で、音楽を作っていきます。あらゆる情報を身体の感覚を通して、察知し、無意識に選択し、外側と内側の情報を即座に連結させて音楽を紡いでいきます。
そのシステムを逆にしてみようという試みなのです。
演奏家であるからこそできることかもしれないと思いつつ。。。(どうなるかしら?)

松井さんとの共同作業も前回に引き続き。
こちらも、短歌や詩と「歌」の境界に向かって、、、それはたぶんことばや筝の源流を旅することにもなるのではないかと思います。

ことばや身体、、、、探ることによって開かれていく感覚。

明日は、申し訳ないのですが、お花のために暖房をつけることができません。
ご来場してくださる皆様方、あったかくしていらしてくださいね。
お目にかかるのを楽しみにしております!

2007年10月14日 『気のゆるみ』

12日、菊央雄司さんのリサイタル(大阪)で「千代の鶯」を演奏しました。

菊央さんは、地歌の将来を担う有望な若手演奏家です。そんな彼の大事なリサイタルで共演させていただき、感謝です。

「千代の鶯」は大曲で、演奏時間は25分ほど。
大学卒業直後にこの曲を演奏して以来ですから、今回は一から勉強し直し。現代の作品を中心に活動している私にとって「古典」と関わることは逆にものすごく新しいことであったりするのですね。

久しぶりに弾いてみると、やっぱりとても長い曲だなあと感じてしまって、さて、どうする?
何度も練習して、録音して聴いてみると、たくさんのことに気づきます。
そして、やはりというべきか、そこで気づく自分の問題点は、即興や現代作品を弾くときと同じことなのですね。
何かがちがって、何か足りない。。。そう思いながらまた練習を重ねていくと、徐々におもしろくなってきて、25分がとても短く感じられていきます。
ちょっとした間や呼吸で曲は生きてくるし、動き始めます。そして、音の色のほんの少しのちがいが景色を変えるのです。
あたりまえのことなんだけれど、「手」と呼ばれる単純な節の連なりでできている古典では、それが生命!超絶技巧で目を眩ませてごまかすことができませんからね(笑)。
そのうち、そのおもしろさにはまってしまうんですね。

本番は、もちろんまだまだ未熟ですけれど、楽しみながら演奏することができました。
間や呼吸、音の色というものは、演奏者のあいだだけのやりとりではなく、そこで聴いてくださっているひとたちの呼吸でもあり、音響であり、そういうその場のあらゆる条件や環境のもとで毎回違っていて、それが難しさでもあり、おもしろさでもあり、深さでもあるということなのだと思います。
そして、それは、古典のみならず。。。ですけれどね。
菊津木先生とは一緒の楽屋で、菊原初子先生のお話や修行のお話も聞かせていただき、自分の努力の足りなさを反省すると同時にいつまでもみずみずしさを失わない先生の生き方に刺激を受けました。

今日は、アンサンブルMoraという合唱団の伴奏で筝を弾きました。
神奈川大会で見事金賞、今日は関東大会でした。
指導者の桑原先生のひとことで団員のみなさんがまるで魔法にかかったようにどんどん変わられていくのが伝わってきて、おだやかで歌を愛する気持ちの輪の中でお筝を弾かせてもらえてほんとに幸せでした。
声のちからってすごいなあって思うのです。
聴いていて、時折、ぞくっと鳥肌が立つことがありました。

菊津木先生や桑原先生、尊敬する先生方との出会いの中で、落ち込んでめげてる場合じゃないと勇気をいただき、また身の引き締まる思いがしました。

そして、パソコンを開いてみたら、私のコンサートのタイトルの「Autumn」のスペルが「Autumun」になってますよ。というありがたいご指摘メールが届いていました(>_<)
ええっ?と思ってスケジュールの欄を見たら、やっぱり。。。(恥)
しかも日記のスペルも違ってる。。。(ガ~ン!)DMハガキは間違ってなかった(ほっ(^_^;))

日頃、中学生の甥っ子をからかってたら、あらあら自分がこのありさま。。(ぎゃふん・・)

この前は二度寝したために寝過ごしてもう少しで遅刻するところだったし、前日になって次の日の入りの時間を確認していないことに気づいて慌てふためいたり、ガラスの花瓶も割ってしまった、、、そしていつもは確認してからアップする更新作業をこうしてミスしたり、、、(泣)
ちょっと、気がゆるんでますね!!!

さあ!気を引き締めて、今月後半に向かわなくっちゃ!

2007年10月08日 『小休止』

10月に入って、毎日バタバタ(>_<)
我が家の散らかりようは凄まじい。。。(溜息)
本番とリハーサル、関西と東京、というわけで楽器や楽譜、これから考えようとしていることを書いたメモが部屋中に散乱していて、生徒さんには楽器はいつも油単にくるんでかたづけましょうね。と言っているのに、筝柱をはずしたまま部屋にたてかけています。。。
でも、筝を何面か立てかけた中で寝るというのは、まるで森にいるようで、よく眠れるんですねー。というか、いつでも眠れる私が言っても説得力ないけれど(汗)

早くから準備しておけば!とこの日記でも何度もしつこく反省してはいるのですが、またまた改められることもなく現在に至っています。

あ~、どうしよう(泣)と言いながらも、東急東横線の中で約10年ぶりに友人に偶然会い(驚)すっかり話し込んでしまったり、打合せと言いつつ雑談に走って長々とおしゃべりしたり、リハーサルより話をしている時間が長いのはいつものこと。。。。いやはや、自分で自分の首を絞めているんですけれど、でもね、これこそがとっても大切なんです。私にとっては。

そこからいっぱいヒントをもらったり、元気をもらったり、やる気もね、むくむく湧いてきたりするのです!だから、その皺寄せは自分の睡眠不足に来てお顔の皺にたとえなったとしても(笑)心の栄養ですからね(にっこり!)

齋藤徹さんとジャン・サスポータスさんとの共演も終了。
演奏したのは、六段(八橋検校)と松井さんの図形短歌に私が音楽をつけた作品、そして即興。
自分の演奏、音楽につきつけられた課題は、埼玉県立近代美術館で演奏したときに感じていたものの、あらためて痛感。それは、音楽の範囲にとどまらない私自身の壁です。
課題は尽きることがありません。次から次へと。。。きっとキリがないんだろうなあ。。。
おふたりは、とても大きな存在でした。

ジャンさんに本番前エクセサイズを教えていただきつつ、一緒にさせていただきました。
からだを動かしているうちにどんどん軽くなって、ふわふわしてきて、すごく気持ちがよくて、もしかしたら飛べるんじゃないか!(笑)と思えるほどに感覚が変わっていくんです。
最近、身体のことにも興味があって、もちろん私のことですから理論的なことはわからず自分の感覚をたよりにあれこれ実験?というか遊んでいましたから、もううれしくて!
演奏する身体も楽器の一部、音がよく鳴って響く身体にしていくこともできるんじゃないか。なんてことを考えているんですね。
エクセサイズが終わった後に、ジャンさんに「あなたの身体はすばらしい!」とほめてもらって、感激!

そうそう、その一日前に、東京駅で詩人の松井さんと打合せ。
今度のLETTERのシリーズで、前から話が出ていた京極為兼の名号歌を使った松井さんの図形短歌を音楽に翻訳することについて話し合い。
雑談の中から、徐々に曲を作る道筋が見えてきます。京極為兼さんの心境にもなってみたりして(笑)。妖しい世界も見え隠れし、さて、これから作業しなくちゃ!です。

ひとりでできることには限りがあって、いつもたくさんのひとたちが新しい風を吹き込んでくれて、世界を開いてくれます。(深謝!)

直接顔を見て、声を聞いて、会話するっていいですよね。
文章にしても何度も推敲することは大切だけれど、直感的なことって、たとえば思わぬアイデアとかは会話の中で出てくるような気がします!

ささっ、また練習や作業にもどらなくっちゃ!お茶の時間はおしまい(^_^;)

あ!「LETTER~autumn~」の企画がなかなかまとまらず、ご案内が遅れてしまいました。スミマセン!
10月20日(土)いつもの場所でいつもの時間にスタートします。(詳しくはスケジュールをごらんください。)
是非遊びにいらしてください!

また、ご報告しますね。


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