春一番が吹き荒れ、少しずつ暖かくなってきました。とはいえ、季節の変わり目。花粉症や風邪で街はマスクをした人たちでいっぱいですね。(私もややマスク依存症です。笑)
街が春めいてくると、うきうきして何か新しいことを始めたくなります。
先日の「箏とそばの会」は楽しく終了。お運びくださった皆様、本当にありがとうございました。トークを交えながら1時間のコンサート。そのあとには、とびきり美味しいお蕎麦が待っていました!これからも続けていきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。『江戸&東京の粋な遊び』をめざしておりますので!
最近は、トークを交えながらのコンサートをすることが多くなりました。
20代から30代は、人前で話すことは大の苦手で、寄り道を重ねて家に帰れなくなった子供のように(実際、私は幼稚園児の頃、帰り道で迷子になり、通りがかりの優しいおばさんがバッグに書いてある名前を見て幼稚園に連絡してくれたおかげで無事帰宅できたという経験があります。のどかな時代でした・・・。)元の話題はどこへやら、話は迷走して行方不明になってしまうのでした。家族からは「何言ってるのか全然わからなかった。」と、容赦ない感想をいつも聞かされていました。私自身もわからなかったので、反論する気もなく、あー、だからやめておけばよかった。とうなだれるばかりでした。
迷走するだけならいいのですが、話のどこで息継ぎしていいかわからなくて過呼吸状態になり、そのすぐ後に演奏を始めると、息切れがすごくて、倒れそうになったこともありました。
40代になり、3年間和歌山放送の『西陽子の音楽って素敵なこと』というラジオ番組のパーソナリティーを務めました。最初の放送を聞いてみると、ゲストの方とのトークの中で一番目立ったのが、なんと!「ええ」とか「はい」とか相槌を打つことばの多さでした。日常会話では全く意識したことがなく、驚きました。ゲストの方のお話の隙間がすべて私の相槌で埋め尽くされ、すごくくどくて、耳障りで、恥ずかしいやらガックリするやら。。。程よい相槌って難しい!
でも、この3年間で、客観的に自分のトークを聞き、そんなに焦らなくても大丈夫、多少間が空いても落ち着いてゆっくり話すことが大事なんだとわかりました。
海外公演では、最初の頃、スタッフの方にお話していただくか、私が日本語で話した後にその場で通訳していただくかたちでした。でも、「発音が少々おかしくてもやはり演奏家自身が話した方が説得力がありますよ。」というアドバイスをいただき、なるべく簡単な英文にして自分で話すようにしました。
大学での講義は演奏を混じえて1時間半。これまでのさまざまな失敗や経験がなかったら務まらなかったと思います。
今だに演奏している時の方がやっぱり落ち着くのですが、トークをすることで聴いてくださる方との距離が近くなることは幸せですし、聴き方や楽しみ方のポイントをお伝えすることでより興味を持って楽しんでいただけるならこんなうれしいことはありません。
「ことば」で伝えること。大切にしていきたいです。